理学療法士になるまでの話(実習、国試編)

理学療法士になるまでの話(実習、国試編)

理学療法士になるまで。今回は実習、国試
について書きます。
実習は学生生活の超メインイベントです。
大変だし、この時に受け持った方の事を
多分、一生忘れません。
それだけ色濃い時間となります。


これから理学療法士を目指そうとしている方
現在、理学療法士の学生の方の参考になれば
嬉しいです。

1年生の介護体験実習

1年生の時には介護体験実習があります。
1週間、老人保健施設に行きました。

実習には必ずデイリーレポートがあります。
その日の行動予定や前日に体験したことや
それについて学んだり調べてきたことを毎日
朝に提出します。施設のスタッフがそれらを
みて、フィードバックしてくれます。

介護体験なので、ベッドメイク体験や清拭、

入浴、お食事のお手伝いなどをさせていただき
ます。特に個別の受け持ちの方などがいる訳で
はなく、ケアスタッフの方や看護師さんについ
て回ります。

施設のスタッフの方は通常の業務に加えて学生
が毎日持ってくるレポートにも目を通すので、
いつもより忙しくなります。
忙しさから明らかにイライラを募らせている
スタッフも居ました。

おそらく認知機能に問題のある方で、お食事
の際、口の中に食物をため込んでモゴモゴし
ている方がいました。
その方はスタッフが拭いた直後の机の上に溜
め込んでいた口の中のものを一気に出してし
まいました。
それを見たスタッフが「ちっ!」と言って、
その方にティッシュボックスを投げつけました。
ティッシュボックスが頭に当たったその方は
それまで少しぼんやりした顔をしていました
が、その瞬間ものすごい剣幕でそのスタッフ
を睨んでいました。

完全な虐待でアウトです。記憶障害があっても
痛い、怖い、嫌な思いをした方はしっかりと覚
えています。このような事が起こること自体、
だめですよね。

反面教師というかなんというか、ある意味、
強烈な勉強になりました。

解剖学実習

1年生のときにそれはやってきます。
大学病院へ解剖学実習に行きました。

解剖学実習は実際のご遺体が医学部によって
すでに処置されているものを、ピンセットや
手袋を使って触ったり、関節を動かしたりする
ものでした。(始めは自分達で切り分けるのか
と思っていました。汗)

ストレッチャーに乗ったご遺体が運ばれてきて
始める前に黙とうをささげます。
白い布を先生がサッと取り、ご遺体と対面
しました。

腸や肺などの臓器を観察したり、各関節を動
かしてみたり、脳の底側にある、ウィリス
動脈輪を覗いてみたりしました。

以外?と気分を悪くする生徒は誰もいません
でした。
みんなそれぞれ真剣に見ていましたが、
今思うと1年生なので、体のことについての
知識が浅く、よくわかっていなかったよう
な気がします。

今になってもう一回行きたいな。と
思います。

2年生の評価実習

2年生のときは評価実習に行きます。
ある大学病院へ3週間行きました。
評価実習というのは、その方の障害には
何の評価(理学療法の)が必要か考えて、
選択した評価を実施します。
得られたデータをまとめて文献などを元に
自分の見解を出します。
施設によっては治療までを考えます。

私の実習指導者は男性の理学療法士の方でし
た。(実習担当者はSVとかバイザーと言いま
す。)

メインで関わらせていただいた方は交通事故で
足の解放骨折をした外国人の女性の方でした。
とても明るい方で日本語も上手でした。
普通は打ち解けた会話の中で色々と問診を進めて
いきますが、学生の時の私は実習前の演習で色々
と頭の中がカチコチに固まってしまい根掘り
葉掘り聞いてしまい、失礼な感じになってしまい
ました。

やさしくて明るいその方は色々と詳しく答えて
くださいました。

実習中はSVのリハビリを見学したり、SVの患者さん
の関節角度や四肢の長さを測るなどの実技をします。

帰ったら見学の内容や実習中にわからなかった事、
レポートやレジュメなどやることが盛りだくさん。
とにかく、眠る時間が全然ありませんでした。
3時間眠るのを目標にしてましたが、1時間眠る
のが不可能なこともありました。睡眠時間が減る
と、パフォーマンスが下がる。終わらない。
悪夢のようなスパイラルに陥っていました。

担当した患者さんはリハビリを無事に終えて退院
し、車いすで院内を移動していましたが、退院後
に杖で歩いて通院していました。

私はなんとかボロボロになりつつも実習の合格を
頂き、実習を終えました。

3年生のインターン実習

3年生の実習はリハビリのプログラムまでを考えて
実施して、その効果はどうだったのかを考察
します。
インターン実習といわれるもので、8週間の実習を
2か所行きます。学生生活のメインでしょうか。

1か所目は少し田舎にある病院で入院生活が
比較的長い方が多くいる病院でした。
付近の大きな病院の影響で難病の方が多く、
私が担当させていただいた方も難病の方でした。
どんどん良くなっていくのではなく、病期の進行
を遅延させたり、QOLを保つために介入する
リハビリは難しくも本当にやりがいがありました。

担当させていただいた方は実に良い方で、
色々と私に心の内をお話してくださいました。

病院の方針で院内発表の機会を与えてくださり、
他職種の方もいる前で発表しました。
当時はパワーポイントの使い方もわからなかった
のですが、色々と教えて頂いて、発表をしました。

SV(実習指導者)の方の人間力というか、色々な
患者さんとの関係性の築き方、関わりを見ていて
こんな理学療法士になりたい。とはっきりと
思わせてくれる、とても素敵な方でした。
その後の臨床でもこの実習で教わったことを
何回も思い出し、役にたちました。
その後もSVの先生からハガキなどを頂き、実習
を担当させて頂いた患者さんが亡くなった
お知らせも頂きました。



2回目の実習は訪問看護ステーションでした。
SVの方との相性?が悪く、なぜかほとんど
訪問に連れて行ってもらえずに、事務所で
資料を読んでレポートにまとめるといった
作業が続きました。

また、毎日あるレポートの文章の直しでも全て
の絵(動作や姿勢分析の絵)も書き直しする
する(約80ページの中にある200個位の絵)と
いった謎の課題を与えられていました。
絵を書くだけで毎回数時間かかり、本題を深く
考える時間が削られてしまう謎課題でした。

学校の先生に相談しましたが、他に実習先が
ないから我慢してくれ。とのことでした。

できない私にイライラしてしまったのか
わからないですが、パワハラであったり、
丁寧な指導ができない実習指導者にはなりたく
ない。と思いました。

地獄のように感じた実習もなんとか終わり、
なんとか合格を頂きました。

全学年長短あれど実習に行く事になります。
色々な患者さんと出会い、実習指導者に会い
ますが、どれをとってもその後の理学療法士
生活で、なかなか忘れることのできない、
濃い体験となりました。

就職活動と国家試験

実習が終わったら就職活動と国家試験の準備です
私の行っていた学校は卒業論文や試験はありませ
んでした。

しかし、国家試験の合格率が下がってしまうと
入学希望者も減少してしまうため、国家試験の
模擬練習、模擬テストが盛りだくさんで、この
テストの点数が低い人は就職活動ストップと
いう謎のルールがありました。

国家試験の練習は過去問をとにかく解きます。
理学、作業、言語聴覚士、看護師、医師など
他の医療系の国家試験も模擬的に行います。
加えて、理学療法士国家試験の過去問10年分
全ての答えと解説を1問A4用紙1枚ずつ作って
いきます。

10㎝位のファイル2冊をお守りのように毎日
持ち歩いていました。

就職は先生に相談したり、学校に来ている
求人票をみたり、自分で探すなどです。
私は維持期(生活期)の病院を希望して
いたので、自分で探して面接を受け、内定
をもらいました。すんなり1つだけ受けて
すぐに内定を貰えたので安心しました。

人生で一番勉強にプレッシャーを感じて
時間も使った時期でしょうか?
途中でうつ的になる人も多く、みんなで
励ましのメールを送りあったりしつつ、
試験本番まで頑張りました。

試験は午前と午後に分かれ、なかなか
ボリュームのあるものでした。
なんとか合格して現在に至ります。

理学療法士の国家試験合格率は決して低く
はありませんが、そこに至るまで、非常に
壮大なドラマがあります。

これから理学療法士を目指される方、
熱い情熱と最後までやり抜く気持ちを
持って頑張ってください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。